読書記録:ダブル・ジョーカー/柳広司

書名:ダブル・ジョーカー Double Joker
著者:柳広司
読了日:2014/4/21
発売年月日:2012/6/25 初版

(あらすじ)
結城中佐率いる異能のスパイ組織”D機関”の暗躍の陰で、もう一つの諜報組織”風機関”が設立された。その戒律は「躊躇なく殺せ。潔く死ね」。D機関の追い落としを謀る風機関に対し、結城中佐が放った驚愕の一手とは?表題作「ダブル・ジョーカー」ほか、”魔術師”のコードネームで伝説となったスパイ時代の結城を描く「柩」など5編に加え、単行本未収録作「眠る男」を特別収録。超話題「ジョーカー・ゲーム」第2弾!

(感想)
私が2013年に読んだ本ベスト2に挙げた柳広司「ジョーカー・ゲーム」の続編。陸軍内に創られたスパイ組織についての、これまた短篇集。

前作に勝るとも劣らない緊張が続く短篇集になっていて、今回もとても楽しく読めた。前作が(今となっては)割とストレートなスパイものだったのが、今作は色々と捻っていてネタが尽きないのかと心配になるくらいだ。

個別での話をすると、表題作の「ダブル・ジョーカー」では、陸軍内の2つのスパイ組織が争うお話。この話は長編で読みたかった。短編だとどうしても力の差がありすぎるように見えてしまって、もっと長い話だったらこの興奮がずっと味わえただろうとに思ってしまった。

個人的には、最後の文庫版ボーナストラックで、前作のある話の補完をしてもらえたのが非常に嬉しい。

前作と違うのは、短篇集ながら連作的な意味合いがあって、日本がどんどんと開戦に向けて滑り落ちていく状況が1つ1つ読み進めるにしたがって強く出てくるところだ。短編は、どれだけその裏に広がる世界を意識させてくれるかが面白さの1つだと思うが、その意味でこの作品は期待を裏切らない。



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