読書記録:殺人者と恐喝者 Seeing is Believing

書名:殺人者と恐喝者 Seeing is Believing
著者:カーター・ディクスン
訳者:高沢治
読了日:2014/3/29

(あらすじ)
美貌の若妻ヴィッキー・フェインは、夫アーサーがポリー・アレンなる娘を殺したのだと覚った。居候の叔父ヒューバートもこの件を知っている。外地から帰って逗留を始めた叔父は、少額の借金を重ねた挙げ句、部屋や食事に注文をつけるようになった。アーサーが唯々諾々と従っていた理由が、これで腑に落ちた。体面上、警察に通報する訳にはいかない。そ知らぬ顔で客を招き、催眠術を実演することになった夜、衝撃的な殺人事件が発生。遠からぬ屋敷に滞在し回想録の後述を始めていたヘンリ・メリヴェール卿の許に急報が入り、秘書役ともども駆けつけて捜査に当たることとなったが……。

(感想)
カーの新訳。訳は基本的に新しいほうが読みやすくて好きだ。これは初読。

トリック自体は別として、話の流れがスピーディで楽しく読めた。ヘンリ・メリヴェール卿の子供時代の記憶とかよく考えるなと思う。評判が悪いらしいけど、お話は面白かった。

最後まで犯人がわからず、みんながみんな怪しく見えていたわけだけども、それだけに犯人を知っても意外感は特になく。だって、みんな同じように怪しいから。いや、全然わからなかったけど。つくづく私は良いミステリ読者だと思う。

(ちょっとだけネタバレ)
いや、実際に殺した人はわかってるんだけどね。しかし、催眠術にかかって人を殺したら罪に問われないのだろうか?

あと、解決後に思わず見なおしてしまったところがあった。解説でも麻耶雄嵩が書いているとおり、限りなく黒に近いグレー。うーん、これはどうなのかなあ、読む限りではアウトでしょと思う。原文読む気もないからいいや。

トリック自体はなんだこれって感じだけど、解決編までいくとトリックってどうでも良い感じになる。

(ネタバレ終わり)

まあ、評判悪い理由はいくつでもあげられる。でも非常に楽しく読めたので満足。しかし、海外ミステリというかイギリスのミステリを読んでると特にそう思うんだけど、なんでみんなそんなに思わせぶりな態度をとるんだろうかということ。日本の最近のミステリはそこら辺あんまり気にならないんだけど、訳の文体の違いなのか、そういう特徴なのか。

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