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2014年4月20日日曜日

読書記録:死の接吻 A KISS BEFORE DYING/アイラ・ケヴィン


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書名:死の接吻 A KISS BEFORE DYING 著者:アイラ・レヴィン
訳者:中田耕治
読了日:2014/4/19
発売年月日:1976/4/30 第24刷
東西ミステリーベスト100 13位


あらすじ

二人は学生同士の恋人だった。女は妊娠しており、男は結婚を迫られていた。拳銃、薬物、偽装事故といく通りかの殺人方法を調べ上げてみた。結局偽装自殺に決めたのだが、遺書のために女の筆跡を入手しなければならない。自信はあった--戦慄すべき完全犯罪を行なおうとするアプレゲールの青年の冷酷非情な行動と野心。弱冠23歳の天才作家の手になる、アメリカ探偵作家クラブ最優秀処女長編賞を受賞した恐るべき傑作。


感想

東西ミステリーベスト100読破プロジェクト、海外版13位。

このあらすじでは本作の面白さが半分も伝わらない。これだけ内容を盛り込んでこの短さ(そこまで短くないけど)でまとめられていてお得感が半端ない。

第一部は、太平洋戦争で日本と戦って戻ってきた元軍人の大学生が、いかにして彼女を殺さざるを得なくなったか、そしてどうやって殺すかを検討してする描写が続く。冷酷非情と書かれているが、少なくとも序盤では心の揺れと自分を納得させるための論理の組立てを頑張ってやろうとしている姿が描かれている。ドストエフスキーの「罪と罰」を思い出したが、観念的にならずにエンタテイメントに徹していたので安心した。

第二部以降は殺人犯の視点ではなくなるので、「あらすじ」にあるような冷酷非情な印象を受けるが、少なくともこの殺人まではそこまで冷酷な感じはせず、普通の人が悩んでいるようにしか見えない。

第二部は、この殺人を解明しようとする人の視点になるのだが、この殺人犯が誰かというところがわからないので、フーダニット(犯人探し)が楽しくなってくる。また、どうしてこの偽装自殺を見破ったかの推理は、最初よくわからなかったけれどもあとからなるほどと思わせるものだった。犯人探しについては私はいつもどおりころりと騙された。そしてその先はスリラーになっていって、どうやってこの犯人のさらなる犯行を止めるかというところに興味が移っていく。

と、1つの長編でいくつもの謎が楽しめる作品になっていた。冒頭で「お得感が半端ない」と書いたのはこのためだ。

当時の社会情勢がいろいろと盛り込まれている。退役軍人のメンタルケアの問題、格差の問題、厳格な教育な問題など、当時のアメリカが患っていた(そして、おそらく今も患っている)問題に触れていて、読み進めていくと内容が理解できる仕掛けになっていたのが勉強になった。といっても、そこに深く切り込むというわけではなく、プロットに自然に組み込まれていた(とあとからわかる)のが素晴らしい。気になったのは、退役軍人の「心の闇」的なところがストレートに出過ぎててちょっと古いなと思ったところ。1953年の作品だから仕方ないけれども。



映像化作品

この作品は、アメリカで「赤い壁」、日本で「白い壁」という名前で映画化されている。その経緯は訳者あとがきに書いてあった。また、1991年にも「死の接吻」という名前で映像化されている。


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